akane
2018/07/06
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2018/07/06
「人生100年時代」と言われる現代、老後というには早すぎて、余生というには長すぎる「人生の後半戦」をどのように過ごせば幸せになれるのでしょうか?「人生100年時代」と言われる現代、老後というには早すぎて、余生というには長すぎる「人生の後半戦」をどのように過ごせば幸せになれるのでしょうか?教養の達人、齊藤孝先生が『人生後半の幸福論』(光文社新書)で作成したチェックリストの一部を特別公開します。
第1回【身体と心編】、第2回【仕事編】第3回【教養編】ときて、最終回は【人生編】になります。幸せな人生を送るために、私たちには何ができるのでしょう。
特別公開!人生後半を幸せに過ごすためのチェックリスト【人生編】
□何かを「伝える」「遺す」ことを意識していますか?
□ これだけは守りたいという「生活信条」がありますか?
□ 生きがいとは何か、考えたことがありますか?
□「自分が必要とされている」と思える場所がありますか?
□「あの人のようになりたい」と思える、理想の人がいますか?
何かを「伝える」「遺す」ことを意識していますか?
50歳を超えたら、若い世代に対して自分は何が伝えられるか、何が遺せるかということも考えたいところです。教育とは、実はこれを職業としてやるものです。私は教師を目指す学生たちに、「教師とは、連綿と積み重ねられてきた人類の文化の継承・伝達者なのだ、そういう意識を持とう!」と言いつづけています。
しかし、これは何も教師に限ったことではありません。誰もが、自分の知識や技術など伝えていくべき何かを持っているはずなのです。生きていることの意味を、自分に限定して考えずに、何を伝えられるかと考える。人生後半は、それを明確にしていく時期です。
剣豪として名高い宮本武蔵が真剣勝負をしていたのは、28、29歳ごろまでです。自分の剣術を普遍的な兵法としてとらえられるようになったのは50歳を過ぎてからで、60歳のときに『五輪書』を書きはじめました。武蔵は執筆に2年の歳月をかけ、完成後に亡くなります。
人を斬るための奥義が、なぜ現代まで読み継がれているのか。何かの道で鍛練を積んで上達を目指すときの心得として、非常に参考になるからです。武蔵が「伝え遺そう」という気持ちに至らなかったら、私たちは『五輪書』の内容を知ることはできなかったのです。
同じことが『風姿花伝』でもいえます。観阿弥、世阿弥の能に対する考え方が門外不出のままであったなら、芸道への透徹した精神を知ることができませんでした。
あなたはどんなことを伝えることができるでしょうか。書道が得意なら、子どもたちに教えるのもひとつの方法です。胸を打ついい言葉を揮毫することもまた、書を用いてできる伝え方のひとつです。
もっと身近なこと、たとえば、方言、お祭りや年中行事のやり方、郷土料理やその家庭ならではの料理など、次の世代にしっかり伝えていきたいことはたくさんあります。
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いかがでしょうか?伝えること、遺すこと。それも、できることの一つですね。前半戦の経験を次世代に引き継ぐことは、周りが幸せになるだけでなく、自分にとってもやりがいのあることなのかもしれません。『人生後半の幸福論』では、他にも様々なチェックリストが全50項目掲載されています。今までの人生を振り返りながら、これからの後半戦のことを考えてみませんか?
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