akane
2019/04/19
akane
2019/04/19
おもてなし――。
いつしか至るところにこの言葉があふれ、必要以上のおもてなしを強いられる事も多いのではないでしょうか。
おもてなし料理、おもてなしのマナー、お呼ばれのコツ、高見えするテーブルコーディネート、SNS用フォトブースが並ぶパーティー…。もちろん大切な事ですが、おもてなし、する方もされる方も、正直疲れませんか。
相手を心地よくするのがおもてなしのはずなのに、正解のカタチを追い求め、保身のために過剰になる。当事者不在のおもてなしは、もはや「おもてあり=体裁だけ」ですね。
日本礼法では、何も特別なことではなく「もてなしたい」その気持ちこそがおもてなしになる、そんなコツをお伝えします。
人と人がもっと素直に、自由に繋がるために。「型」を捨てる勇気をあなたへ贈ります。
この連載を通して、あなたとあなたの周りの方がもっと素敵な笑顔になることを願ってやみません。
日本礼法の「おもてなし」は、何も特別なことではなく日本人なら誰もが潜在的に持っている和の心、「もてなしたい」その気持ちです。
先日、あるテレビドラマで、「年寄りの三種の神器」という言葉に出会いました。「自慢話、説教、愚痴」だそうで、確かに、魅力的と感じる方々には無縁の単語だと心に残りました。
ワークライフバランス、ノー残業、朝型勤務、フレックスタイム制度、アクティブラーニング…、1年前の常識が、いえ、1日前の常識がガラと変化してしまうかもしれないこの時代に、「過去」の押し売りほど無駄なものはないということでしょうか。
それでなくとも、近年はコンプライアンスが厳しく、上の世代の方が肩身の狭い思いをする場面も増えています。「○○ハラ」にならないように、部下とは必要以上の関わりを避ける方も多いのではないでしょうか。
でも、一日の3分の1以上を過ごす社内で、部下の機嫌を取ることに終始していては、仕事のパフォーマンスも上がりません。何より、晴れて昇進の機会を手にし、部下が出来たのならば、人望を勝ち取る魅力的な上司として、チームが一体となって、仕事の成果を上げていきたいものですよね。
今回は、世代を越えて人を惹きつける心の在り方をお伝え致します。
想像してみてください。
ある朝、メールを開くと、IRから添付ファイル付きのメールが入っていた。なんと競合他社から敵対的買収が行われると言うのだ。その瞬間から、鳴り止まぬ電話の対応に追われる不穏な日々が始まった…。
こんな時、あなたは上司として、どのような背中を見せるでしょうか。
率先して現場の対応を手伝う人、社員に喝を入れながら指揮を執る人、危機管理マニュアルを読み漁る人あるいは自己保身に走る人……。窮地に追い込まれた時こそ、人の真価が問われるといいますが、そういう瞬間に見た人の姿ほど、良くも悪くも心に刻まれるものです。
実は、私がサービス業に従事していた時に、実際に起きた話なのです。上述のように様々な上司がいました。その中で、最も印象に残ったのは、A部長でした。
当時、現場は大混乱で、上司も部下もないくらい、皆が目の前の仕事に追われていました。普段穏やかな上司も、怒鳴り声で指示を出し、現場の雰囲気は殺伐としていました。そこへ、A部長は笑みを浮かべながら呑気な様子で話しかけてきたのです。一刻一秒を争うような現場に似つかわしくない対応に、驚きと戸惑いを隠せませんでしたが、A部長が必ず最後まで残り、現場のすべての状況を網羅していることに気付くと、自然と現場の空気が和んでいくのを感じました。
事は、プロクシ―ファイト(委任状争奪戦)へともつれ込み、朝8時までに用意する数千もの株主配布資料作りをたった7名で行わなければならず、夜通し作業が行われました。午前0時に差し掛かった頃、自身の会食を終えたA部長が、どこで聞きつけたのか作業している部屋に入って来ました。「君たち、遅くまでありがとう。私も精一杯対応するから一緒に頑張ろう」と言って、会食前に用意しておいた差し入れ(お腹にたまるもの/どら焼き・最中・お稲荷・おにぎり・押しずし)を扉の近くにいた同僚に手渡しました。その時私は、彼の腕時計に目が行ったのです。A部長のどんな社員をも気遣う真摯な対応と、ビシッと決めたスーツに洗練されたシンプルなレザーバンドに白い盤面がマッチし、圧倒的なオーラを感じずにはいられなかった――。
結果的に買収は回避され、それまでの重たい空気は一気に吹き飛び、すぐに日常を取戻していきました。自己保身に遁走していた上司も、何事もなかったかのように、出勤してきます。
ある日、私はA氏とすれ違いました。その存在感に圧倒されながらも、「先日はありがとうございました!」と声を掛けました。すると、目の前に先日着けていた腕時計が突き付けられ、「良い時計でしょ?」と、ウインクするA氏。「僕は、この時計に刻まれた、1分1秒の積み重ねが自分を作っていることを、忘れないようにしているのだよ」そう言って立ち去っていきました。
上司が部下に対してすべきは、「引き算のおもてなし」です。「上司ならば尊敬されるべき」「魅力的な上司になるならこうするべき」「部下なら素直に従うべき」心の中に生まれる「べき」の声に従うほど、あなたの心から「ゆとり」が奪われることを心に留めましょう。そして、上司としての威厳や積み重ねた経験を部下に示したい、伝えたいと思うときこそ、あえて何も言わないことです。部下を信頼しているという心のゆとりを見せることで、伝わる安心感こそが、部下との良い距離感を生み出します。もちろん、ここぞという場面では、差し入れや褒め言葉の大盤振る舞いをすることをお忘れなく。
もし、どうしても「三種の神器」を振りかざしたい衝動に駆られそうになった時は、腕時計に触れましょう。腕時計に関わらず、磨き続け、ツヤと深みを増した大切な言葉やモノ、こだわりに関するものなら何でも構いませんが、自分の「ありたい姿」をそれに誓うのです。何か行動をする前に必ず触れるという習慣を付け、触れる度に「ありたい姿」を思い描くようにします。続けていくと、触れるだけで心のゆとりが生まれるようになります。ぜひお試しください。
あなたには、自身を輝かせる強い信念はありますか。多種多様な価値観や情報が溢れる現代だからこそ、もはや「正解」の形はありません。自分自身であることへの誇りと尊厳を失わない姿こそが、世代を超えて愛される魅力へとつながり、そこから生まれる心の余裕こそ、相手へのおもてなしそのものなのです。
正しいグラスを選ぶとワインがより美味しくなるように、正しい身のこなしがわかれば会食のシーンがもっと愉しくなります!!
グラスの持ち方一つで、あなたの印象が7割変わるのをご存知ですか。お酒がお好きな方はもちろんのこと、あまり得意でない方こそ、少しの知識と正しい立ち居振る舞いを身につけるだけで、格式高い宴席もお取引先との接待さえも、自分を輝かせる味方へと変えることが出来ます。
この講座では、好印象を与える第一印象、美しい所作、今更聞けないグラスの素朴な疑問をTPO別に一挙に解決していきます。また、白ワインをご用意しリーデルのグラスを使って美味しい飲み方を習得する、まさに体験型のお講座です。(飲めない方でも問題ございません)
正しい作法は、相手への極上の敬意とおもてなし。肩肘はらずに、皆さんと一緒に素敵な大人の社交場を体験しましょう。
お呼ばれが待ち遠しくなる、今日からすぐに試したくなる、自分をもっと好きになれる、そんなコツが満載です!終わった後の習得度を是非、お楽しみください。また、講座を受講された方には日本礼法の修了証をお渡しさせて頂きます。
■講座内容
1、お仕事相手のこころを掴む第一印象
魅力的な笑顔の秘訣、お辞儀の種類、挨拶の仕方、基本姿勢、歩き方、指先の意識
2、人を惹きつける美しい所作、TPO別ポイントレッスン
しなやかな所作のコツ、シチュエーション別、エレガントな飲み物のいただき方
3、もう迷わない、グラスの知識とTPO別グラスの扱い方
ワインをより美味しくいただくためのグラス選び、乾杯やテイスティングの作法、美しいグラスの扱い方
■こんな方におススメ
・大人のキャリアアップを目指したい方
・格式高い席でも、気後れせずに堂々と振る舞えるマナーを学びたい方
・お酒が苦手で、宴席での振る舞いやグラスの作法に自信がない方
・レセプションやパーティーなどで優雅な立ち居振る舞いを身に付けたい方
・取引先との会食で、魅力的な印象を残したい方
・日常から宴席までドリンクをもっと楽しみたい方
■講師
日本礼法 教授 齊木由香
伝統を重んじる旧家にて生まれ育ち、幼少期より年中行事を始め、和服に親しみながら礼儀作法を身に付ける。現在は、伝統に基づきながらも現代に即した日本の「もてなしの心」や「和の作法」を国内外の方にお伝えする取り組みを行い、その身のこなしには高い評価を得ている。さらに、和室のしつらいや畳での所作において多数の大手企業のCMの監修を手掛け、日本文化に関する執筆を行うなど幅広く活躍している。
■リーデル
260年以上もの歴史を誇るワイングラスの老舗メーカー。
世界で初めてブドウ品種ごとに理想的な形状を開発したオーストリアのリーデル。ワインの個性や造り手の想いまでも忠実に再現するグラスとして、ワイン生産者や愛好家の方々から絶大な信頼が寄せられています。現在はワイングラスに留まらず、ビール・シャンパン・日本酒・ソフトドリンクに至るまで、様々なラインナップを揃えている。
■概要
日時:6月28日(金)18:00~20:00(120分)
場所:伊勢丹会館5階=OTOMANA
定員:40名
価格:5,400円(税込)
お申込み方法:伊勢丹オンラインストアにて承ります。
詳しくはこちらをご覧ください。
日本礼法とは
伝統的な「おもてなしの心」を取り入れた礼儀作法を次世代に伝承するために東京オリンピックの開催年である1964年4月1日に設立いたしました。1964年東京オリンピックの「おもてなしスタッフ」として従事。2008年北京オリンピックでは接客接遇の指導係としてオリンピック組織委員会から抜擢えあれ、4年にわたるスタッフの育成に大きく貢献しました。作法の根底にある思いやり、真心、誠意と言った心情こそが社会生活を円滑に営むものとし、現代に即した「和の作法」を伝え続けております。 https://www.nihonreiho.com
株式会社光文社Copyright (C) Kobunsha Co., Ltd. All Rights Reserved.