旨辛料理を味わいながら、涙する。表参道の「辛すぎて」泣ける店「赤い壺」
寺井広樹の東京いい店泣ける店withおとよ

世界トップクラスの辛さの唐辛子を使った麻婆豆腐

 

ココは1辛から8辛まで、辛さのランクが選べるんです。まずは1辛から始めましょう。

 

「まどろっこしい。一番辛い8辛からいきましょうよ」と激辛料理は平気と豪語する、おとよ。いやいや、舐めてはいけません。徐々に慣らしていかないと。それに空腹状態で辛いものを食べると貧血を起こす場合もあるそうですよ。

 

「大丈夫ですって!」と奈々に同意を求めるおとよ。けど、奈々はおとよの迫力に押されてしぶしぶ頷いているように見えるんですが……。じゃあ、1つ下の7辛の“地獄の鬼辛麻婆豆腐(税抜1280円)”を注文しましょうか。

 

出てきた麻婆豆腐は真っ赤で、見るからに辛そうです。世界トップクラスの辛さの唐辛子であるトリニダード・スコーピオンを使用しているのだとか。

 

地獄の鬼辛麻婆豆腐(1280円) 本当に辛そうです……!

 

一口食べただけで「口の中がヒリヒリとしてきました。おっ、お水ください」と奈々。その目からは辛さで涙が……。

 

奈々の目からは思わず涙が……

 

けど、水はあげませんよ。すると、「奈々さんに、そんないじわるしないでください」と抗議してくる、おとよ。

 

違うんです。ほら、お店の注意書きに「なるべく水は飲まないようにしましょう」って書いてあるじゃないですか!

 

なるべく水は飲まない方がいいんですね

 

さあさあ、辛さを紛らわすには、水よりも乳製品や甘いものがおすすめです。練乳やチョコなどが入った、辛さからの“救済セット(税抜800円)”を頼みましょう。

 

救済セット(税抜800円) 文字通り、救われた気持ちになります

 

早速、チョコレートを頬張る奈々。あれ、おとよは?

 

「辛さが後引く美味しさですよ」と麻婆豆腐をつまみに“自家製とうがらし酒(税抜750円)”をキュッと飲んでいるじゃありませんか。

 

自家製とうがらし酒(税抜750円) 麻婆豆腐に比べるとソフトな辛さです

 

この麻婆豆腐は匂いもきつくて、食べなくても辛そうなのに……。ほんとかなぁと思いつつ、では私も一口……。

 

って、食べた瞬間、口の中が燃えるよう。これは辛すぎるじゃないですか!そんな風に苦情を言う私に、黙って壁を指差すおとよ。そこには「辛すぎるそんなクレームおことわり」との注意書きがありました。失礼しました。

 

東京いい店泣ける店

寺井広樹・とよしま亜紀

【寺井広樹】
泣いて心のデトックスを図る「涙活」を発案。『涙活公式ガイドブック』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)、『泣く技術』(PHP研究所)、絵本『ナミダロイド』(辰巳出版)など著書多数。
【とよしま亜紀】
雑誌・書籍編集兼ライター。現在、師匠である寺井氏の元で“涙のスペシャリスト”として修業中。著書に、あの世とこの世の情けに泣ける『宮城の怖い話』『新潟の怖い話』『静岡の怖い話』(TOブックス)。

イラスト:えんどうまめ
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