BW_machida
2020/07/09
小説で読む名作戯曲
BW_machida
2020/07/09
「お初、さぁどこで死のう」
その答えはもう決まっていた。
「曽根崎の森」
大坂の、大坂の街で死にたかった。
あの人、徳兵衛様と、恋の架け橋を渡って、彼岸に行くことができたらどんなにいいだろうか――。
元禄時代、難波の街。物心ついたころから、廓(くるわ)という特殊な世界で生きてきたお初。醤油屋の手代・徳兵衛に惹かれ、愛し合うものの、途絶えた二人の未来。向かった先は、曽根崎の森だった。
華やぎと活気、そして死を縁取る闇。騙(かた)り、憎しみ、絶望、そして愛。
すべてを呑み込む大坂の街で、「恋の手本」となった二人の物語。
元禄文化を代表する近松作品の最高傑作を、気鋭の歴史小説化が描く。
原作:近松門左衛門(ちかまつ もんざえもん) [1653-1724]江戸時代の浄瑠璃・歌舞伎の作者。武士や貴族を描いた「時代物」と町人たちの生活を描いた「世話物」があり、合わせて100以上の人形浄瑠璃を残した。中でも『曽根崎心中』は近松の世話物の代表作である。文楽として現代でも繰り返し上演され、歌舞伎の演目としても愛され続けている。享年72。 小説:黒澤はゆま(くろさわ はゆま) 歴史小説家。1979年、宮崎県生まれ。著書に『劉邦の宦官』(双葉社)、『九度山秘録』(河出書房新社)、『なぜ闘う男は少年が好きなのか』(KKベストセラーズ)、『戦国、まずい飯!』(集英社インターナショナル)がある。好きなものは酒と猫。作家エージェント、アップルシード・エージェンシー所属。
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