akane
2018/02/14
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2018/02/14
根拠がとくにあるわけでもないのに、食べ物につけられると、なんとなく体によさそう……と思わせてしまう言葉がある。その代表が「自然」「天然」「国産」だ。しかし、科学ジャーナリストの松永和紀さんは警鐘を鳴らす。
「世の中には食に関するニセ情報、フェイクニュースがあふれていますが、その最たるもののひとつが『自然だから安全、体によい』というものです。自然の食品だってリスクゼロではなく、有害物質や微生物が普通に含まれているのです。とくに一般の人は、食品はまっさらでリスクのないもので、そこに農薬や添加物が混じることで “汚染” される、と考える傾向にあります。
しかし、科学者の考え方はまったく異なります。食品にはもともと有害物質が含まれており、未知の毒性物質も持っています。毒性を評価し、一定の水準をクリアしたうえで、特定の使い方、使用量でのみ許可されている農薬や添加物はむしろ、安全が守られている、と考えるのです」
また「国産がいい」という発想も、フェイクニュースのひとつであると松永さんは指摘する。
「『中国産はこんなに違反が多い』という報道をよく見かけます。たしかに違反件数は多いのですが、中国から輸入されてくる食品はほかの国と比べて飛びぬけて多く、違反数を輸入件数で割る『違反率』で調べると、中国は各国平均よりもかなり低い数字となります。過去のさまざまな事件を経て、中国側は改善を図りました。その結果、中国の日本向け食品のレベルは年々向上し、違反も減ってきているのです」
「自国のものは安全で輸入ものは危険」という感情的な思い込みはどの国にもあり、BSE(牛海綿状脳症)の大流行を生んだ英国でさえ、アンケート調査で同様の結果が得られたという。
しかし日本ですら、HACCP(ハサップ)と呼ばれる国際的な食品の安全管理基準が普及しておらず、国際的には「食の安全を満たしていない国」と見なされている可能性がある。
「最近はインターネットを通じ、科学的な知識のない人たちが『食のニュースは読者がつきやすい』とフェイクニュースを量産しています。気をつけたいところです」
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