akane
2019/10/23
akane
2019/10/23
―サラッといきなり、今回始まったんですけれども、そもそもお二人って……?なぜ今回、この回になったのかというところで。
寺島 忘れていましたね。
市川 忘れていました。
―本来、初めにやっておくべき話なんですけど。
寺島 ちょっと熱くなりましたね、いきなりね。
市川 そうですね。
寺島 一応ですね、僕、この7月になるまで4年間、営業部っていうところにおりまして、文藝春秋の。それで、市川さんのお店を4年間、担当させていただいたところ、大変うまが合うというか。
市川 趣味がほぼ一緒で。プロレスと、あと戦国時代と、あとビートたけし。
寺島 ビートね。
市川 ビートたけしさんが大好きとか、ものすごいですね。たぶん、この3つは、だいぶ親和性は高いと思うんですけど。
寺島 披露宴のエンディングムービーは、『世界の北野、足立区のたけし』のエンドムービーを模した(ものを流した)。
市川 『SEA SIDE WOMAN BLUES』っていう。
寺島 サザンの『SEA SIDE WOMAN BLUES』という曲があるんですけど、それを、たけしが後ろ向きに歌うっていうエンドだったんですけど。それを、わざわざ自分で撮って、エンドロールに流すというね。
市川 って聞いたときに、ええっ!?って。
―そこがツボにはまったわけですね。
寺島 わざわざたけし的な、ワンサイズ上のスーツを着て。後ろ姿だから俺じゃなくてもいいのに、1回も振り向かないですからね。これはなかなか、言葉だと伝わりづらい。
市川 伝わりづらいです。
寺島 やらなくていいことをやったっていう。
市川 っていうぐらい、これがハマったのが、たぶん僕だけだと思うんですけど。
寺島 そうですね。あまり話もしないですね、こんなことは。
市川 っていうぐらい、うまが合うっていうことで、今回、お招きしております。
寺島 はい。よろしくお願いします、改めて。
市川 えっとですね、今回……。
―お持ちしている本の紹介を、ちょっとしてください。
市川 文藝春秋さんから出ております、『完本1976年のアントニオ猪木』、柳澤健さんの著作なんですけど。
これはですね、アントニオ猪木さんが行った、いびつな、いまのプロレス界のキーになる4試合が語られている作品。一番の白眉っていうのはやっぱり、世界の、当時スーパースターであったモハメド・アリと、異種格闘技戦を行ったというくだりがあるんですけど。これは、めちゃくちゃすごいですよね。
寺島 すごいですね。やっぱりここまで切り込んだのがすごいんですよ。
市川 当時、モハメド・アリは、トラッシュトークがすごい得意で、記者会見とかで、アントニオ猪木を「ペリカン野郎」とか言ったり、まくし立てたりするんですけど。元々、そのトラッシュトークの師匠が、ブラッシーだったというですね。ブラッシーって。
―誰ですか。
寺島 当然、知らないですよね。
市川 「噛みつき魔」って知らないですか。
―知らない。
寺島 「吸血鬼」と呼ばれた。
―そういうプロレスラーの方がいるんですか。
市川 そうです、そうです。その人の「トークはこうやってやるんだよ」みたいな話を受けて、モハメド・アリが「プロレスって、ああ、すごいじゃん」みたいな。
―アリはじゃあ、プロレスの影響を、そういうところで受けているっていう形なんですね。
市川 そう、そう。という話とかがあったりとかして。あとは、モハメド・アリを招へいする、要はジャイアント馬場に対抗するために、一流のプロレスラーよりも、さらに上の権威の選手と自分が戦うと、アントニオ猪木がそういう作戦のもと(動いていた)。
―猪木は自分をある種「はく付け」したかったっていうことなんですか。
市川 そう、そう。モハメド・アリを呼ぶんですけど。アリは元々、プロレスの試合をやるつもりで来たんですけど、猪木は真剣勝負をやるというところで、すったもんだがいろいろあって。これも非常に、すごい迫力があって面白いくだりなんですけど。
この、アントニオ猪木がプロレスの試合じゃなくって、真剣勝負をやるっていうことが、僕はプロレスだと思うんですよ。
―なんかそれ、哲学みたいになってきましたね(笑)。うん?
市川 そう。プロレスってよく、世に言う、たとえばツイッターとかで流れてくる「プロレス」っていう言葉って、忖度とか馴れ合いとか、そういう(意味がある)。
―ああ。茶番的な。
市川 そう、そう。ネガティブな。
―これ、プロレスじゃんみたいな。
市川 そう、そう。違うんですよ。
―人が炎上したりするときに、はい、はい、みたいな。
市川 プロレスっていうのは、「人生をアートする」って意味だと僕は思っていて。猪木の、そのプロレスっていうのは、ここでプロレスの試合を選ばずに、真剣勝負をアリとして、勝って、プロレスの株を上げると。それこそがプロレスなんだと。
―それこそがプロレス。はあ。
市川 そう。
寺島 そうなんですよ。
市川 (笑)
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