akane
2018/04/24
akane
2018/04/24
母は80歳と高齢ながら、未だに家事を一手に引き受け、元気に暮らしています。それはありがたいことなのですが、あまりに過保護で、正直、いいかげん母から離れたいと思っています。「母は自分が役に立っていると思いたいから、家事を手放そうとしないのではないか。自分が安心したいために、私のことを心配しているだけではないのか?」といった疑念さえ抱いてしまいます。
ただ、母は趣味もなく、老人会などにも入らず、娘の私や孫の世話をすることに生きがいを感じているよう。ここで私が突き放すのもかわいそうな気がします。ちなみに私には2人の娘がいて、下の子が生まれて間もなくに離婚して以来、母と同居してきました。
そんなこんなで、母から離れたいと思いながら、それを行動に移せない自分に嫌気がさしながらも、このままでは一歩も前に進めそうにないと悩んでいます。
あなたの娘さんたちはすでに家を出て学校生活を送り、この春には社会人になるのですね。メールには「いよいよ私の役目が終わるのだと思うと、何だか寂しいです」というお言葉がありました。そのことがお母さんとの関係を見直したいと思うきっかけになったのでしょう。文面から、「お母さんのように子離れできない母親にはなりたくない。娘たちの成長を見守りながら、自分の楽しみを見つけていきたい」という、あなたの気持ちがうかがえます。お母さんはいい意味で反面教師なのでしょう。そこまで冷静に自分を見ることのできるあなたなら大丈夫、ちゃんと子離れできます。
お母さんをうっとうしく思う気持ちはわかります。母親って、老いてくると、同じことを何度も話すし、文句ばかり言うし、何でも自分の都合のいいように取るし。腹が立つでしょうし、うるさいとも思われるでしょう。でもね、娘が女手一つで子どもを育てているのであれば、自分ができることは何でもしてあげたいと思うのが母心というもの。過保護にもなりますよ。80ともなれば足腰は痛いし、背中も曲がってくるし、本音ではお母さんだって家事なんかしたくないのかもしれません。それでも娘に負担をかけたくないから、「ボケ防止になる」などと言って、がんばっているのです。決して自己満足や親切の押し売りなんかではありません。そこはわかってあげましょう。
それと、趣味や老人会などの集まりに参加することを、間違っても強要しないようにしましょう。みんながみんな、そういうことを楽しめるとは限らないのですから。
どうか、お母さんがいま、あなたのそばにいてくれることを大切にしてください。いまはうるさいと思っている母親も、いずれはいなくなってしまいます。人は都合のよいものでね、母親に冷たくすると、亡くなったときに自分を責めて、とても後悔することになります。私はあなたに後悔してほしくありません。「お母さんのために、過保護にガマンしてつき合ってあげた」と思えるほうが、あなたの人生にとってはいいと思うのです。
今後、もしあなたが家を出て一人暮らしをすることになっても、すぐにお母さんに会いに行ける距離の所がいいですね。そうしてケンカしながらでも、ずーっとお母さんにとって“手のかかる娘”でいてあげましょう。それがあなたの今生の親孝行でもありますね。
子どもへの愛情にあふれた母親は、ときとして過保護になります。
うっとうしくても、突き放してはいけません。
お母さんの気持ちになって、寄り添ってあげましょう。
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