akane
2019/01/25
akane
2019/01/25
Genre: Rock, Psychedelic Rock, Baroque Pop
Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band – The Beatles (1967) Parlophone, UK
(RS 1 / NME 87) 500 + 414 = 914
Tracks:
M1: Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band, M2: With a Little Help from My Friends, M3: Lucy in the Sky with Diamonds, M4: Getting Better, M5: Fixing a Hole, M6: She’s Leaving Home, M7: Being for the Benefit of Mr. Kite!, M8: Within You Without You, M9: When I’m Sixty-Four, M10: Lovely Rita, M11: Good Morning Good Morning, M12: Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (Reprise), M13: A Day in the Life
前書きにも記したが〈ローリング・ストーン〉の1位はこれだ。しかし〈NME〉の評価(87位)が順位を下げて、この位置となった。さすがに僕も、それは低すぎるんじゃないかと思うのだが……ともあれ本作は、ザ・ビートルズ8枚目のイギリス盤オリジナル・アルバムだ。現時点で、彼らの最も売れたアルバムでもある。
発表当時、イギリスではトータル27週、アメリカでは15週、1位に君臨。米グラミー賞では68年にアルバム・オブ・ザ・イヤーを獲得するのだが、なんとこれは「ロック・アルバムが同賞を受賞した初の例」でもあった。そして、今日までの全世界売り上げの累計で3200万枚を突破した、と言われている。
さらに本作は、批評家からも絶賛された。「世界最初のコンセプト・アルバム」と呼ばれることもある。アルバム・タイトルとなった「架空のバンド」を創造し、そのバンドのショウをそのまま収録したかのようなイメージで、全曲は配置された。バンドのテーマ曲がM1であり、アンコールに応えてふたたび演奏されるのがM12という趣向だ。M2、M3、M4、M7、M9、M10など、名曲もてんこ盛りだ。そしてイギリス盤のLPでは、このアルバムは「終わらなかった」。
最後のM13が終わったあと、針がレーベルのところまで動いていく過程で、なにやら怪しいノイズが流れる。レーベルに針が触れるとそこで針とびして戻るので、またそのパートが繰り返される。これが延々続く……という趣向だった。まあ、これ自体はとくに面白いものではなかったのだが、しかしとにかく「あらゆるところに凝っていた」ことの証明ではあった。スリーヴ・アートのいわくありげな感じ、そしてメンバー4人のファッションも含めて、「いろいろ考えた」結果が見てとれた。
本作がこうなったのは、ザ・ビーチ・ボーイズが前年に発表したアルバム『ペット・サウンズ』に影響を受けたため、と言われている。「作り込み」への傾倒が、突如ロック界の最前線で巻き起こっていた。「サマー・オブ・ラヴ」の時代だ。
スタジオのなかで「やれることのかぎり」をつくしたい。「だれも聴いたことのない」芸術的な音楽を生み出したい――「気のいいロックあんちゃんたち」だった4人は急速に大人になって、そんな情熱をたぎらせていた。本作の成功により、彼らはカウンターカルチャーの大波の先頭へと、立ち位置を移していくことになる。
次回は22位。乞うご期待!
※凡例:
●タイトル表記は、アルバム名、アーティスト名の順。和文の括弧内は、オリジナル盤の発表年、レーベル名、レーベルの所在国を記している。
●アルバムや曲名については、英文の片仮名起こしを原則とする。とくによく知られている邦題がある場合は、本文中ではそれを優先的に記載する。
●「Genre」欄には、収録曲の傾向に近しいサブジャンル名を列記した。
●スコア欄について。「RS」=〈ローリング・ストーン〉のリストでの順位、「NME」は〈NME〉のリストでの順位。そこから計算されたスコアが「pt」であらわされている。
●収録曲一覧は、特記なき場合はすべて、原則的にオリジナル盤の曲目を記載している。
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